月の詩
誰にも内緒の想い 月の詩(ウタ)にしてそっと綴ろう…




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【春のたまご】 
 
 忘れ物を取りに、夜の学校へと来たとき。

帰り際の、理科教室の前で何かの音を聞いた気がして、足を止めた。
耳を澄ましてみると確かに、小さくピキピキピキ・・・という、
何かにひびが入るような音が聞こえる。

僕は、こっそりとドアの窓から中を覗いてみた。
そこには、見たこともない一人の少年。
机の上に置かれた、お菓子の缶ほどの大きさの木箱を、熱心に覗き込んでいた。

(だれだろう…?)

その声が聞こえでもしたかのように少年はふと、僕の方へと目をやった。
ドキ、としたものの、興味が先に立ち、思い切って僕も中へと入る。

「君、だれ? 何してるの?」
木箱の中に何があるのか、気になった。
「それ、何?」
「…たまご」と、彼はやっと答えた。
「何のたまご?」
「春のたまごだよ、君知らないの?
 先週のたまご当番の奴が肥料の分量を間違えたせいで、いつもより2週間も早く割れそうなんだよ。
 だから心配になって、様子を見に来たのさ」
「…ふーん、」

(春のたまご?さっぱり訳がわからない)
何かの罰ゲームでもやらされているのかしら…?

そうするうちにもそのたまごには、またピキピキピキとひびが入り、
その度に少年は、それを優しく、手のひらでなでている。

(変な子…)

「あの。僕、そろそろ帰るけど。君も早く帰ったほうがいいよ」
少年は答えなかった。
僕はそっとため息をつき、教室を出た。
ドアが閉まりきる瞬間、少年は一度だけ振り返り、

「ねぇ、君。『これ』明日にはもうすっかり、生まれるよ」
そう云って、微笑んだのだった。

――翌日。

学校で一番大きい桜の木を見あげながら、僕は昨日の出来事を思い出して微笑んでいた。
(あれ、本当に春のたまごだったんだぁ…)
僕が見上げるそこには、小さな花のつぼみが生まれていたから。

そしてそれは、いつもより2週間も早い、春の訪れでもあった――


END
..2007/6/10(日)  No.7



【僕等はそれでできている】 
 
 
君が傍にいなくても
いつも僕を呼ぶ声がする
心に深く刻まれて、とめどなく響き続ける
僕はきっと、
そんなふうにできている…

君に触れていなくても
いつも僕を感じているはず
僕が触れた髪が揺らぎ、愛しさが躰中を包み込む
君はきっと、
そんなふうにできている…

二人は二人でいなくても
寄り添うようにお互いをいつもそこに見る
君が触れた指先、僕が想う唇
壊れるくらいの抱擁と、苦しいくらいの眼差し
二人を繋げる総てのものが、僕らを縛り付けて離さないから

痛いくらいの愛しさと、
ほんの少しのやさしい涙

僕らはきっと、
そういうもので できている…
..2006/5/1(月)  No.6



【Mischief☆】 
 
 
ないしょ話のフリしてキス

悪戯っ子の瞳に

困ったような、ちょっと照れたような

けれど

笑い出したいくらい幸せ顔の僕

負けっぱなしじゃ悔しいから

たまにはその癖、

僕からしかけようか?
 
..2006/3/31(金)  No.5



【Happy☆Life】 
 
 君の笑顔が僕にうつって、
僕の幸せが君にかえって

君の悲しみが僕を呼んで、
僕の強さが君を包んで

伝えきれない想いは
優しさをぎゅっと詰め込んだ花束にして

抱えきれない幸せは
スキップ踏んでく足音に変えて

そんな風に
いつまでも、どこまでも

二人歩いていけたらいいね…
 
..2006/2/28(火)  No.4



【Drop】 
 
 零れてきそうな夜空の星に
願いごと、ひとつ
言葉の代わりに
涙、ひとしずく

溶けるよに甘い君の声に
鼓動が、ひとつ
振り向けない距離
涙、ひとしずく

誘うような君の笑い声に
笑顔が、ふわり
近くて遠くて
ため息、ひとつ


零れ落ちてきた夜空の星に
願い事、ひとつ
どうか明日も君に笑顔
それが僕の
幸せ、ひとつぶ
 
..2006/1/19(木)  No.3


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