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戯言(ゼロフィリ/スレイTRY) 
 
 


暖かな部屋
一つ多いティーカップ
僕のための椅子
甘い匂い
白い湯気
ユリの花一輪


ああ気づいてしまったんですね。



「今日は素敵な歓迎ですね。驚きました」

臆面もなくそういえば、いつもなら貴女は嫌味の一つくらい言うでしょう。
でもきっとそれも今日はない。にこやかな笑顔の貴女。
綺麗なユリですね。心にもないことを口にして席につく。
出された紅茶の湖面に映ったさかさまの貴女に、僕は妙に不快な気分になりました。

「大切なお客様ですから」

「・・それはどうも」

心にもない科白。心のない笑顔。
僕が欲しいのはそんな貴女じゃありません。

「なんだかフィリアさんじゃないみたいですね。風邪でもひきましたか?」

それとも変なものでも食べたとか。
思いっきり茶目っ気たっぷりに。そして嫌味ったらしく。
足掻くように、引き止めるように。
今ならまだ間に合うと訴えるかのように。
見苦しくて、認めがたくて、それでもかまわない気がした。

「いいえ、心から歓迎してますよ」

だからそんなこといわないで。
にこりと、笑顔が溢れた。
そうですか。それが貴女の意思なのですね。
ええ、綺麗です。本当に。

「あんまり利口にならないでくださいよ」

ぽつりと言った科白は聞こえたのか聞こえなかったのか。
そんなことはどちらでもよかった。
心からの歓迎・一輪の花・甘い香り・さびしい笑顔。
貴女の中から湧き出てくる、悲しくて、でも求めていない感情。
そんな貴女が欲しくて僕はここにいるんじゃありません。
知っているのでしょう?
つまらないことは止めてください。

でも貴女は気づいてしまった。
それが貴女の意思なのですね。


くるくる
くるくる
くるくる

変わる表情
気持ち

喜び
悲しみ
不安

それが僕の望みなら

なくなってしまえばどうなるか




「そろそろお暇します。歓迎ありがとうございました」

がたん、と音がした。椅子のすれる音。
見上げる貴女。見下ろす僕。
悲しい目。何も言わない貴女。
そうそれでいいんです。それが貴女の望みなら。

楽しくて
楽しくて
楽しくて

気づかないフリ

でも
気づいたならもう終わりにしなければ。

「またいらしてくださいね」

また、にこり。
最後の最後まで本当に、貴女は利口になりました。
そうやって一つずつ、僕の選択肢を削いでいく。

「ええまた、明日にでも」

心にもないやりとり。交わす会話。
互いに、にこりと微笑んで。
一つずつ終わりに近づけていく。
それが貴女の望みなら、それもいいでしょう。でも

「さよならくらいは言ってくれますか?」

僕の言葉に貴女は少し考えて、ためらって、それでもやはり。

「また明日、ゼロス」

「・・・また、明日。フィリアさん」


サヨウナラ




***
さよならくらいは言ってくれますか?
を言わせたかっただけー
..2008/4/20(日)  No.25



うそ 
 
 



楽しくて
楽しくて
楽しくて

気づかないフリ

くるくる
くるくる
くるくる

変わる表情
気持ち

喜び
悲しみ
不安

それがあなたの望みなら

なくなってしまえばどうなるか



とっくに知っていたのに



楽しくて
楽しくて
楽しくて

気づかないフリ

でも


もう










前フリ
..2008/4/20(日)  No.24



だから(ゼロフィリ/スレイTRY) 
 
 


神と魔の根源がどうだとか

神が魔を憎むとか、魔が神に抗うとか

あんまりそういったことに興味はなかったんです

そういう間柄であったり

そういうことに縛られたりするのもなんともなしに感じながら

でも、貴女が神に仕えるからとか

そういったことで滅してしまおうとか

そんなことは考えなかったけれど

貴女が変わっていったりとか

それが例えば進化であったり、成長であったり、老いであったりする

そんなどうしようもないことが

許せなかっただけなんです

だからもし 何故と問われれば

なんででしょうね と 答えたのでしょうか

貴女の進化とか成長とか老いが止まったことに

一定の満足を得た瞬間から

貴女の声や反応や感情がもう二度と湧き出てこないことに

不満や苛立が生じても

それは仕方のないことなのだと思います

どうして 何故 と聞かないのかとか

そんなことを考えるのが 僕を形作るものなのかなと 思います

別に貴女がどうだとか

貴女を形作るなにかがどうだとか

そんなことはどうでもいいんです

でも

貴女もやっぱり変わるんですね

だから





*****
誰もこんなとこ見てないだろうと思って好き勝手やっちゃうことに決めた(笑)
まかり間違ってみてしまった人のためにいちよう自己紹介ですが、stmimiです☆
ちなみにこれ、ゼロフィリです。えー
彼らのバッドエンドは、神とか魔とかそんなんではなくて
永遠とかそういうものを共有できないことへの絶望だと思うんです。
でもその中には絶望なんてものも感情の起伏もなくて、
ああ置いていかれるんだ、じゃあ捨ててしまおうとか
そんな単純なものであってほしいと、思う。
でも、そんなもんを深く時間をかけて書けるほどの余力はない、ので。
好き勝手やったんです。・・・じゃ!
..2008/4/1(火)  No.23



child/アビス 
 
 子どもが「子ども」でいられる理由を知っていますか。
静かな部屋で思い出したように彼はそう言った。
その唇が言葉を紡ぐのを、何か不思議な呪文でも聞いているような気分で、見ていた。


「理由なんてあるんですの?」

素直に感じたことを尋ねてみると、彼は「ありますよ」と言うように少しだけ目を伏せてカップに口をつけた。
彼が背を向けている窓からは夕日が差し込み、宿屋の向こうの道を子どもたちが駆けていくのがちらりと見えた。
家に帰ると夕食が待っている。そんな子どもたち。

「人間は案外大人になることのほうが容易い。それが他人から見てそうだと感じられなくても、少なくとも人が自分を『大人だ』と評価することは簡単です。そして逆に、『子ども』でいることほど難しいことは無い」

本当にそうだろうか。
入り込んできた言葉の羅列を、一つ一つ反芻しながら吟味する。
子どもでいられることの意味と、その理由。
自分はどのようにして子どもになったのだろう。

「私は、生まれた時から子どもでしたわ」

彼の言葉の意味を、彼の望むように解釈出来なかったことがほんの少し悔しくて、わざと冷たくそう言った。
それは素晴らしい、と。わざとらしい彼独特の賞賛が返ってくる。
何が素晴らしいのだというのだろうか。
空になった、けれどまだ温かさの残るカップを掌の中に収めながら彼女は考える。

「ほとんどの子どもはきっと、貴女と同じです。生まれた時から子どもで・・・自分でも気付かないうちに『子ども』になる」

でも。
少しトーンの落ちた声が、空気を一瞬止めた。

「ある日突然、『子ども』であることを取り上げられる子どももまた、いるんですよ」

「どうして?」

「理由はそれこそ、どこにでも転がっています。戦争しかり、災害しかり。理由なんて無数に存在する。そして・・・」

彼もまた、そんな『子ども』の一人なんでしょう。
わざと『彼』という言い方をしたその言葉に、無性に胸が騒いだ。
心のどこかで、紅い紅い、髪が靡く。
ああそうか、わざと回りくどい言い方をしてまで伝えたかったその意図。

「彼は大人、なのでしょうか」

「少なくとも子どもではない。私にはそれしか言えません」

「今からでも、なれるでしょうか」

「それは・・・」

貴女次第ですよ。
小さな小さな声が聞こえた、ような気がした。



あなたは子ども、ですか?



fin?
****
子どもが子どもでいられる理由。
私は、子どもが「守られる存在」であるから子どもでいられるんだと思っています。
守ってくれる人がいる、この人なら守ってくれる。
そんな安心感があるから、子どもは「子ども」になれるんだろうと思います。
アッシュはヴァンに連れて行かれてから、多分「守ってもらえる」状況じゃなかったんじゃないかな。
子どもなのに「子ども」になれなくて、「大人」になるしかなかったんじゃないかな。
「子ども」でいられる時間が短かったから、「大人」になってもどこかで「子ども」じみてたんじゃないかな。
そんなことを考えました。
17歳のアッシュへ。
..2006/3/27(月)  No.22



14.あつい(ゼロしい) 
 
 ぱちぱちと火が弾ける音が響いている。
野営というものには大分慣れたし、いまさら不服を言うつもりも毛頭ない。
ただ、今日は日が悪かったとしか言いようが無かった。
いつもと同じ服装で、いつもと同じ夜なのに。
その日はやけに熱かった。
昼間歩みを進めていた間も、熱のこもった体と重たい頭が気になって仕方なかった。
風邪なんて久しぶりだな、とまるで人事のように呟いた。

本来ならさっさと寝てしまいたいところだが、不幸にも野営の見張りの順番が来てしまったし。
かと言って風邪だからパスなんて言えるはずもなく。
・・・いや、言えば即座に誰かが変わってくれたのだろう。
そうすればよかったのに、そうできなかったのは何故なのか。
すぐそばにある答えを、自覚するのは何故だか気が引けた。


あいつら皆、もう寝たかな。
見上げた空に、星が輝いていた。



「あんたでも、星を見上げるなんてことするんだね」


ぱき、と枝を踏む音がした。
そして何より声がした。


「何だしいな。夜更かしはビボーの敵だぜ〜?」
「よくもまあ、そんな体でバカがことが言えたもんだね。この意地っ張り」
「だーれが意地っ張りだってのよ」
「あんた以外に誰がいるってのさ」


怒り口調でそう言って、どん、と地面に湯飲みを叩き付けた。
なみなみと注がれていた水(らしき)ものが、小さな雫となって一滴土に吸い込まれて消えていった。
なにこれ、と聞こうとして、ちらりとしいなの方を見る。
彼女が黙って左手を突き出した。


「風邪に効く薬だよ。飲んでさっさと寝な。見張りは私がやっとくから」
「ちょっとちょっとしいな、俺さま別に風邪なんて」
「気付いてないとでも思ったかい?」
「・・・ま、少なくともロイドたちは、な」
「バカ」
「そこは褒めるとこだろおい」
「何言ってんだい。本格的に倒れたらどうするつもりだったんだい」
「大丈夫大丈夫。俺さまこれでも丈夫だから」
「風邪っぴきが何言ってんのさ」
「これは、ほれ。天変地異がだな」
「単に体調管理がなってないんだよ」


べしん、と頭をはたかれた。
病人相手に容赦のない。けれどいつもよりやさしい掌。


「ほら、さっさと飲む」
「・・・苦いだろこれ」
「薬だからね」
「いらな」
「飲・み・な」
「・・・・・・・・・・・苦ぇ」
「だから効くんだよ」
「摘んできたのか、わざわざ」
「まあね」
「愛されてんなー、俺さま」
「アホ」
「ついでに怒んないのな」
「怒ってるよ」
「でも怒らねぇだろ」
「あんたが珍しく頑張ってたみたいだからね。今回は特別さ」
「頑張る、ねえ」
「ロイド達に心配かけないようにって、必死だったじゃないか」
「そーだっけ?」
「・・・・まあ、こんな無茶も今回限りにしとくれ。見てるほうがひやひやする」
「努力すらあ」
「そうしとくれ」
「しいな」
「何だい?」
「・・・・ありがとな」
「ああ・・・・おやすみ」


ぱち、と火の弾ける音がした。
体にこもっていた熱を、夜風が徐々に冷やしていくのを感じながら、迫ってくる眠気に身を任せた。
別の場所に生まれた、違う熱を感じながら。


FIN//TOS(ゼロしい)

明日学校なのでそろそろ寝ようと思います(ぇ
実は風邪っぴきは書いた本人なのですよ、というオチ。
頭が重いようおおう。
..2005/4/10(日)  No.21


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