咲月のひとり言 思いついたとき、思いつくままに更新
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思うところあって引っ越しました。
http://blog.goo.ne.jp/highland_blue
って、そんな大した理由でもないのです、携帯からもさくさくUPしたいなーと思って。
このレンタル日記スペース、シンプルで使いやすくて気に入ってるんですけどね、携帯からの更新がどうにも不便でそれが不満だったのです。
ちなみに新しいブログでプロフィール写真に使っているのは、我が家のルカ皇子(あえて「王子」ではなくw)ですvvv..2013/1/10(木) No.763
Web拍手レス
>eyecoさま
新年にやけましておめでとうございますv
そう言っていただけて私もにやにやでございます。
ええ、多分クルガンはそう思ってますね、間違いなく。
そしてうちの将軍たちは二人とも大人気ないのです。
そこがチャームポイント(ぇ)
本年もよろしくお願いいたします。
レス不要の方、拍手押してくださった方、ありがとうございます!
拍手やコメントいただくと、多分、いえ間違いなく、みなさんが想像している10倍は喜んでます私。
特にお褒めのコメントなんていただいたら、その夜寝るまで何となくウキウキしてしまいますw
* * * * * *
連続更新になりますが、昨年頂いたリク作品をやっとUPしました。
やっと、ええ、やっとです。
リク主さまには一足お先に公開させていただいております。
「甘い毒」
お気に召したら幸いです。
(当初の予定より長くなったので2ページに分けています)
あれだけ悩んだタイトルですが、結局一番これが腑に落ちました。
染み込むような何かフレーズを探していたはずなのに。
ご感想、お待ちしております。
よろしく!..2013/1/6(日) No.762
『どこにいようと』 〜3〜
クルガンは肺の息がなくなるくらい盛大に、大きな大きなため息をつく。
「貸せ」
覚悟を決め、立ったままひったくるようにシードの手からカップを奪うと一気に呷って飲み干した。
「そうこなくっちゃな」
嬉しそうにシードは言い、自分もワインに口をつけた。
それにしても、いつの間に用意したのだろうかとクルガンは不思議に思う。
初日の出を見ようと誘われたのは、陽も落ちてからのことだった。
さっき怒鳴り合った通り、どうせなら高いところで、そうだ城のテラスはどうだ、いやそれならもっと見晴しのいい場所で、ならば城の裏手にある小高い山がいい、確かに訓練で何度も登っているから道もわかるし手頃だろう、と話がとんとん拍子に進んだ頃には辺りはすっかり夜の帳が降りていたはずだ。
それから出発まで数時間あったとは言え、どこの気の毒な料理人が夜中に無理やりたたき起こされ、或いは家族団らんや楽しいはずのパーティを中断して料理を作らされたのだろう。
首を傾げるクルガンの前で、シードは雪に閉じ込められたこんな状況すら楽しんでいるかのように、実に美味そうに酒を飲み、いつもと変わらぬ健啖ぶりを発揮している。
いや違うな、とクルガンは首を振る。
無理やりにではなく、恐らくそのどこの誰だかわからない料理人は、シードの為に喜んで料理の数々を用意したに違いない。
シードとはそういう男だ。
クルガンは改めて料理の数々を眺めた。
暖かいものがないのは残念だがそれは致し方ない。
今のこの状況を鑑みるに、望みうる最高の食事と言えるだろう。
吹雪に閉じ込められたと言っても、シードの言う通りあとせいぜい数時間で天気が回復する公算は大きい。
火も食糧も酒もあって誰の邪魔も入らないとあれば、考えようによってはこれ以上のシチュエーションはないかも知れない。
そんな風に開き直る自分自身に呆れ半分感心半分、クルガンは菫色の瞳を細めてシードを見た。
冷たい食事を次々と口に放り込んで実に恐るべき恐るべき食欲を発揮していている。
早くしないとおまえの分がなくなるぞと笑って急かす。
差し出されたチーズのひとつに手を伸ばして長い指で優雅に口に運びながら、クルガンはこの後のことを考えた。
どうせ朝までここからは動けない。
つまり明るくなるまで狭い小屋に二人きり。
そう考えればさっきまでうんざりして呪いの言葉でも吐きかけてやりたいくらいだった吹雪が、まんざらでもなく思えてくるから人は勝手だ。
クルガンは暖炉の真正面に座るシードの隣に、無理やり自分も腰を下ろした。
「おい、狭いぞ」
「気にするな。仕方ないからつきあってやる。おまえと一緒にいると、他人の3倍くらいはスリリングな人生を味わえそうだ」
「今更何だよ、もうとっくに乗りかかった船だろ?」
「違いない。ではその船が沈まぬよう、俺が舵取りをしてやろう」
「やめてくれ、おまえに任せたらどこへ行くかわからねぇ」
「失敬な」
ほんのつい1時間ほど前に死にかけたことはもう忘れ、軽口を叩きながら杯を重ねる。
少しずついつもの調子を取り戻す。
やがてクルガンがシードに口づけ、シードも逆らわず素直に陶然と受け入れる。
てらいの欠片もない笑顔が愛しくて、クルガンはシードの体をしっかりと抱きしめる。
朝まで時間はたっぷりある。
年が明けようと外が吹雪こうと、二人でいれば関係ない。
二人が二人でいられればどこであろうと居心地が良い。
こうしてこれからもずっと、一緒に年を重ねていくのだろう。
乗り合わせた船が沈まぬ限り。
(2013.1.1)
今年の年越しSSは短いから1回でまとめてUPできるだろうと思っていたのに、やっぱり長かったみたいでエラーになりました。
どんと一括ならそのまま載せて問題ないけど、何回かに分けるのなら「〜1〜」とか「〜2〜」の前にタイトルも合わせて載せたい。
というわけで、直前になって焦って頭ひねって急遽タイトルをつけたのでした。
(そのせいで少し遅れました。ごめんなさい)
でも意外と何日も悩んでつけたのより、こういう苦し紛れの方がしっくり来たりするから不思議。
今回のタイトルが吉か凶かは別としてw
それでは皆様、楽しいお正月をお過ごし下さいませ。..2013/1/1(火) No.761
『どこにいようと』 〜2〜
気を悪くした様子もなく暖炉の前に腰を下ろすと、シードは部屋に入った時に投げ出したきりのリュックをまさぐりだした。
こんな命がけの雪山登山になるとは思わなかったから、クルガンはほとんど手ぶらに近い。
ちょっと頂上まで歩いて日の出を見たら、そのままさっさと降りてくるつもりだったのだ。
荷物と言えばタオルと、後は水くらいしか持っていない。
何せ子供がハイキングに遊びにくるような、山というより少々高めの丘と言ったレベルなのだ。
訓練でもっと険しい山にも慣れている彼らにすれば、街へ買い物に出るのと意識の上ではさほど変わらない。
なのにシードは一体何の装備を詰め込んだのかと思うほど、大きく膨れ上がって重そうなリュックを背負っていた。
「これこれ」
そのリュックからシードが取り出したのは、一本のワインボトルだった。
「それから、これもな」
続いて何かの包みを取り出す。
ひとつ。
またひとつ。
まるで奇術でも見ているように、次々といろんなものが出てくるのをクルガンは呆気に取られて眺めていた。
――そんな重そうなものを、後生大事に背負って歩いていたのか?
死ぬか生きるかと言う時には、少しでも荷物を減らして身軽になりたいと、普通は誰でもそう思わないのか?
遭難して死にかけているというのに、それでも酒と食糧を文字通り死守するとはある意味見上げた根性だ。
自分とシードの感覚のあまりの乖離具合に、クルガンは一気に疲れが出たような気がして脱力した。
その脇でシードは嬉々として包みを開けている。
「こっちはチーズ、こっちはローストビーフ、そんでこっちはスモークサーモンな。サンドイッチもあるぜ、ロースハムとツナ。ワインは……お、いい感じで冷えてるぞ。天然の冷蔵庫の中を突っ切ってきたからな。白にしといてよかった、赤なら冷え過ぎってとこだ」
「おい」
「さすがにグラスは割れたら困るんで持って来なかった。代わりに木のカップで、と」
「おい」
「それからワインオープナーと、あ、しまったフォーク忘れちまったか。まぁ手掴みでいいよな」
「おい!」
ようやくシードが顔を上げる。
せっかくいい気分なのに邪魔をするなと言いたそうだ。
「なんだよ」
「それは俺のせりふだ、何だこれは」
質問の意図がわからない、という顔でシードはクルガンを見、それから床に広げられた様々な料理と酒を見た。
「何って。おまえ、腹減ってないのか?」
聞かれた途端、クルガンの腹の虫が大きく鳴いた。
タイミングがいいのか、悪いのか。
「いや、俺が聞いているのは」
内心はともかく外見上は常に冷静沈着なクルガンの声が、半音ほど上ずったことにシードは気づかなかった。
「何故わざわざ、こんなものをおまえが持ってきたのかと言うことだ。当初の予定では、日の出だけ見て帰る予定ではなかったのか」
「俺の予定では、美味い酒を飲みながら朝陽を眺める、ってことになってたんだけどな」
「聞いてないぞ」
「ああ、言ってないからな」
どうも会話が噛み合わない。
更に一層の疲れを感じ、クルガンは長い指を額に当てた。
「悩むな、禿るぞ」
「誰が!」
要するにシードは、初日の出を見ながら山の上で酒盛りをしようとしていたのだ。
真冬の雪山の上で。
「ほら」
木でできた丸いカップに白ワインを並々と注ぎ、シードはクルガンの眼の前に差し出した。
絞りたての葡萄そのもののような、甘い香りがふわりと鼻をくすぐる。
確かにさっきから喉が渇いているし、空腹でもある。
上質のワインに旨そうな料理の数々は魅力的だ。
目の前の酒と、どこか面白がっているようなシードの顔をまじまじと見比べる。
「飲まねぇの?」
そしてもう一度、「あんまり悩むと禿るぞ」と笑って言った。..2013/1/1(火) No.760
新年あけましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
* * * * * *
『どこにいようと』 〜1〜
山の天気が変わりやすいのは知っているが、まさかこんな大した装備がなくても登れるような低い山で遭難しそうな目に合おうとは。
互いの体をザイルで繋ぎ、雪の礫が痛いほどの猛吹雪の中を、クルガンとシードの二人は少しずつ、少しずつ、辛うじて前に足を踏み出し進んでいた。
「くそっ、さっきまで星が出てたじゃねぇか!」
「うるさい、喚くな!」
正面から吹き付ける風に飛ばされないよう腰を折った低い姿勢で、足場を確かめながら慎重に歩を進める。
激しい風に炎が消えてしまわぬよう大事に抱えたカンテラは、もはや微かな火種が残っている程度に過ぎず、辺りを照らすほどの力はない。
上も下も前も後ろも全て同じ白い闇の中で、方向感覚はおろか平衡感覚までどうにかなりそうだ。
「本当にこっちで間違いないのか!」
「ねぇよ!」
風がすべての音を掻き消すので、叫ぶようにしないと会話もままならない。
真っ暗でよく見えないが、とりあえず声の届いている間は二人とも生きているという証拠だ。
どちらかの、或いは最悪の場合は二人の声が途切れてしまう前に、目指す山小屋に辿り着かなくてはならない。
吹雪に襲われたら下手に動き回らないのが鉄則ではあるが、風を遮るものが何もない場所で装備も持たないまま立ち止まるのは却って命取りになる。
とは言え目印になるものなど一切見えず、頼りはシードの持つ野生動物並の勘だけだ。
下手に目で探そうとするから余計な情報が入りすぎたり、逆に情報が足りずに進むべき方向がわからなくなる。
いっそここまで周囲が見えなくては、自分の中の内なる感覚だけに従って動く分、少なくともシードの場合は間違いがない。
「行ったことはあるんだろうな!」
「それもねぇよ!」
「何だと!」
「心配すんな、このあたりの地形は全部頭に入ってる!」
やがてほんの少し風が収まった。
大切に守っていたカンテラを翳して祈りにも似た思いで眼を凝らすと、果たして彼らからほんの数メートルの所に目的の小さな山小屋が見えた。
丸太を組み合わせて作った簡素なそれが、今どれほど頼もしく見えることか。
二人は急いで中に入り、やれやれと体に積もった雪を払い落した。
帽子を被っていなかったクルガンは耳が、マフラーやマスクもしていなかったシードはそれに加えて鼻が真っ赤になっていた。
「誰だよ、こんな日に山に登ろうとか言い出した奴は!」
「おまえが新年の初日の出を見ようと言ったのだろう!」
「俺は城のテラスからでよかったんだ、おまえがもっと高いところの方がよく見えるっつったんだろうが!」
「だからといって雪山に登るとは言ってない! この山に決めたのはおまえだ!」
「まさか吹雪くと思うかよ、登り始めた時はあんなに天気よかったじゃねぇか!」
罵り合っているわけではないのだが、大きな声でも出していないと寒くてやりきれない。
うるさく喚きながらシードは煤にまみれた申し訳程度の小さな暖炉に何とか火を熾そうとし、クルガンはカンテラの小さな灯りを頼りに寒さを凌げる毛布はないか探そうと踵を返す。
その拍子に二人の体を繋いだザイルがピンと張り、屈みこんで暖炉の中を覗いていたシードが引っ張られて仰向けに転がった。
「てめぇ、俺に恨みでもあんのかよ!」
「恨みならいくらでもあるぞ、列挙してやろうか!」
「うるせぇ、とっととこのザイル外しやがれ!」
しかし手がかじかんでいるので、二人掛かりでもなかなか思うに任せない。
結局焦れたシードが、クルガンが止めるのも聞かずナイフで切って事なきを得た。
「下山するとき必要になったらどうするつもりだ!」
「だからってこのままにしとくわけにもいかねぇだろうが!」
「もっと他に手はあるだろう!」
「他の手って何だよ、あるんなら言ってみろ!」
外はいったん小康状態になっていた吹雪が、またぞろ盛り返して荒れ狂っている。
湿ってなかなか火のつかない薪に業を煮やしたシードが、掘立小屋の中で烈火の紋章を使うとどうなるだろうかと恐ろしいことを頭の中で計算していると、クルガンがようやく探し当てたみすぼらしい毛布を手に隣の部屋から戻ってきて、ぞんざいに後ろからシードの肩に掛けた。
埃っぽくて、重くて、気のせいか少しかび臭い。
そう不満を訴えたら、我慢しろと一蹴された。
「あちらの部屋には何もないな!」
「何もって、何かあんだろ!」
「もとは燃料や食料を保管しておく部屋のようだが、もぬけの殻だ!」
やがて紋章の力に頼らずとも確かな火を灯すことに成功すると、ようやく部屋の中が少し明るくなり、次第に暖かくもなってきた。
粗末な掘立小屋にしては建付けは意外としっかりしているらしく、窓やどこかから隙間風が吹き込むこともなく、快適とは言えないまでもそれなりにまずます一息つける程度にはなった。
「で?」
「……なんだよ」
「これからどうする」
「俺に聞くなよ」
何とか叫ばなくても普通に会話できる程度に、心にも体にも余裕が出てきた。
人間というものは、極限まで寒いとどうしても喧嘩口調になるようだ。
だがこの調子ではご来光どころではない。
そして下山しようにも身動きが取れない。
「なぁ、ここに来ることを誰かに話してきたか?」
「いいや」
「俺もだ」
「ということは」
「何としても自力で戻るしかないな」
ひょいとシードが肩を竦める。
もし万が一にも二人が揃って何日も戻らなければ、周りの者は心配するだろう。
ウォルシュやフェルドが先頭に立って捜索隊を結成するかも知れないが、どこを探せばいいか皆目見当もつかないだろうから、救助が来るのを待っていても始まらない。
「けど」
シードは窓に打ち付ける吹雪に視線をやる。
「この山が吹雪で入山禁止になるなんざ聞いたことないぜ。こんな天気、そう長く続くもんでもないだろ。朝までにはそのうち晴れるさ」
「……能天気で結構なことだ。時々おまえが羨ましい」
「おぅ、いくらでも羨ましがっとけ」..2013/1/1(火) No.759
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