2009/1/29(木)
詩的私的ジャック/森博嗣 No.13 |
天秤は重いほうが下がる。少しでも重いほうへ傾く。 どんなに重いものでも、それより少しだけ重いもののために、犠牲にしなくてはならない。 生きていくためには、そのジャッジから逃れるわけにはいかない。 本当に・・・・・そうだろうか? どうして、逃げられないのだろう。 生きるということは、そんなに不自由なことだろうか? 何故、逃げなかった? いや、逃げるか、逃げないかも、やはりジャッジの対象なのだ。 問題は同じ。 世間体を気にしない、まったくの自由人は、それが自分のライフスタイルだと思い込むことで、自分の体裁を気にしている。 格好をつけるのが嫌いだ、という人間は、格好をつけないことが、格好いいことだって思っていて、つまり、格好をつけている。 問題は同じだ。 他人に干渉するな、と要求することは、そういって、他人に干渉している。 自分が特別だと思っている、それ自体が特別ではない。 意識とは不自由なものだ。 こうして、自分のアイデンティティは、素直な思考によって不可逆的に軟弱になっていく。 最も効果的な防御とは、考えないこと。 まるで、座禅ではないか・・・・・。 いや、きっとそのとおりなのだろう。 どうして、もっと強くなれないのだろうか、人間は・・・・。
/JACK THE POETICAL PRIVATE by Hiroshi Mori
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