| まずは、2010年11月19日夕刊見開きの大特集。
短歌、詩、評論など、26年と2ヶ月の短い生涯の中で生みだした作品が今も多くの人の心をとらえる石川啄木。その才能の開花は、1年弱に及んだ「北海道漂泊」の日々抜きには考えられない。その象徴ともいえる珠玉の歌集「一握の砂」は、12月1日で刊行からちょうど100年になる。啄木は北海道で何を得たのか。歌集を手がかりに、天才歌人と北海道のかかわりにあらためて光を当ててみた。(黒川伸一)
北海道体験が色濃くにじむ「一握の砂」。国際啄木学会前会長・近藤典彦氏のコメント。
啄木は北海道に渡って初めて本格的な勤め人になった。内地とは全く違う北海道の自然とそこに懸命に生きる人々の姿は生活者啄木の胸を打った。いわば北海道で『人間発見』をした。それが後に、多くの名歌を生み出させることになる。
片面は「創作に色香」として、北海道定番の三人の女性、橘智恵子、小奴、梅川操をとりあげている。橘智恵子について、函館の研究家・桜井健治氏は、
代用教員の啄木に対し、智恵子は訓導(正教員)。啄木の片思いだったが、偉ぶらずに接したその清楚さに対する思い入れは相当なものだった。 |